みなさん、ご存知でしょうか?
日本は国土の約67%が森林という森林大国。これは先進国の中で世界第3位です。
国内どこでも十分な降水量があり、樹木が育つのに適した風土と環境に恵まれています。
日本は資源のない国だと言われていますが、森林資源はとても豊富なんです。
日本書紀にも「スギ・クスノキは舟に、ヒノキは宮殿に、マキは棺に使いなさい」
という記述があるように
古来から日本人は木とともに生活してきました。
しかし、この豊かな森林資源は必ずしも有効に活用されていないのが現状です。
林野庁による、木材需給に関するデータを集約・整理した「令和3年木材需給表」によると、
日本の木材自給率は41.1%(木材自給率とは、国内で消費される木材のうち国産材の占める割合を示す指標のこと)。
残りの多くは外国産材を輸入して使用しているというのが現状です。
国土の2/3が森林で覆われている日本ですが、世界有数の森林大国といわれている反面、
世界有数の「木材輸入国」という矛盾を抱えています。
その理由はいくつかありますが、1964年に木材の輸入が自由化されたことに端を発します。
安価な海外の材木が大量に手に入るようになったことで、国産材の価格が高騰してしまったのです。
現在では国産材の価格は外材に比べ決して高いものばかりではないですが、
輸入材に頼る状況が長く続いたため、日本では国産材が使われなくなりました。
木材自給率のピークは昭和30年の94.5%。そこから減少し、平成12年には18.2%にまで減少。
国産材の国内消費が減少するにつれ林業従事者も減少しました。これも自給率が下がった理由です。
林業に従事する方々の数は長期的に減少傾向で推移しており、令和2年には4万4千人となっています。
1985年には12万人以上いましたが、現在はその1/3程度。
日本の労働者全体のうち、わずか0.9%となっています。
さらに従事者の高齢化も進んでおり、林業を取り巻く環境は厳しいものになっていました。
こういった状況を危惧し、農林水産省では、平成21年に「森林・林業再生プラン」を策定しました。
ここでは「10 年後の木材自給率 50 %以上」を目指すべき姿として掲げ、
先人たちが築き上げた人工林資源を積極的に活用して、木材の安定供給体制の確立、
雇用の増大を通じた山村の活性化、木材利用を通じた低炭素社会の構築を図ることとしています。
「森林・林業再生プラン」は、平成22年に閣議決定された「新成長戦略」で国家戦略プロジェクトの一つにも位置付けられています。
また、林野庁が推進する「緑の雇用」事業では、林業を担う人材の確保・育成を目指し
林業の担い手確保に取り組んでいます。
ここで肝要になってくるのが、日本の森林のうち4割を占める《人工林》。
自然の力によって発芽し、育ち、森林となった天然林に対し
人工林とは、主に木材の生産目的のために、苗木を植栽して育てている森林のこと。
人工林は、伐採し植林して間伐するなど適切に管理すれば
次の世代に残していくことができる“持続可能な資源”です。
また、高齢な木より若い木の方が成長が盛んで二酸化炭素を吸収しやすいので、
森林の世代交代は地球温暖化防止においても重要な役目を担っています。
資源を次世代に残し、地球環境を保全するためにも
人工林を適切に伐採、活用、植林して管理することが大切です。
約1,000万haに及ぶ日本の人工林ですが、多くは戦後から高度経済成長期にかけて植えられたもので、
既に大きく成長しており、木材として利用するための伐採に適した時期を迎えています。
上の図は2017年の齢級(木の年齢を5年の幅でくくった単位)構成を表しています。
若い木が少なく、収穫適齢期である45年前後以上の木がとても多いことが分かります。
言ってみれば日本の人工林は少子高齢化の状態。
林業の観点で言えば、高齢化しすぎた木は使いづらく用途が限られてしまうし
木材利用の持続可能性や温暖化防止の観点からも、この状態は好ましくありません。
健全な森林を保つためには、成長した木を伐採して使い、新たに苗木を植林していくサイクルが必要です。
院庄林業は、伐採して国産木材を良質な製品にすることはもちろん
その後植林して新たな命を森に育む取り組みに力を入れています。
私たちの活動についてはこちらご参照ください→ https://innosho.co.jp/sdgs/
近年、国や地方自治体なども力を入れて取り組んでいることなどもあり、
林業には明るい光が見えてきています。
農林水産省では、平成21年に「森林・林業再生プラン」を策定しました。
これは「10 年後の木材自給率50%以上」を目指すべき姿 として掲げ、森林の多面的機能の確保を図りつつ、先人たちが築き上げた人工林資源を積極的に活用して、 木材の安定供給体制の確立、雇用の増大を通じた山村の活性化、木材利用を通じた低炭素社会の構築を図ることとしています。
さらに「21の国家戦略プロジェクト」の一つに位置付けられており、
林業は国を挙げて推進されています。
木材自給率も2011年から10年連続で上昇を続け、2020年には約半世紀ぶりに41.8%に。
これは、新型コロナウイルスの流行下における「ウッドショック」の影響を受けて、輸入材が停滞し国産材の活用が進んだことや、バイオマス発電向けなどの燃料向けの需要拡大が国産材の活用を後押ししたとされています。
また、林野庁では「緑の雇用」事業を通じて新規就業者の確保や育成に力を入れています。
林業従事者の総数は減少傾向にありますが、他産業に比べて林業における若年者率は近年上昇傾向にあるのも事実です。
政府は2050年のカーボンニュートラルに向けて、森林の適切な保全と活用を進めるために、林業の成長産業化を推進しています。
豊富な森林資源を大切に保全しながらも、適切に活用していくことが、これからますます求められています。