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WEB MAG #7 森林産業のフロントランナー

院庄林業では、集成材の原料となる木材(ラミナ)をヨーロッパの企業から輸入しています。
その中の一つが、フィンランドに本社を置く『UPM』。多岐に渡る事業を展開しながら、その全てで「化石燃料に頼らない未来」に向けて持続可能なソリューションを提供しています。
売上高:117億ユーロ(約1兆8,500億円:現在のレート)
従業員:17,200人
生産拠点:11カ国
販売拠点:6大陸
製紙会社として世界TOP5にも位置する、フィンランド国内でも有数の大企業です。

「サスティナブルな社会を創造する」という目標を掲げる院庄林業では、製品の仕入れ先にも
地球環境に配慮した取り組みを行なう企業を選んでいます。
『UPM』はまさにフロントランナーといえる企業。今回は、その事業や取り組みをご紹介します!

UPMの新たなスローガン『Setting the Standard』

Setting the Standard in Sustainable Timber
〈世界で最も持続可能な生産者になる〉という約束

UPMの製材部門『UPM Timber』は、サステナビリティの目標と具体的で測定可能な目標の達成に取り組んでおり、製材業界をリードしています。

製材の第一段階である、木材を調達するところから、UPMのクライメートポジティブ(温室効果ガス吸収量を排出量より多くするための取り組み:温室効果ガスの削減(吸収)量が、排出される量より上回ることを指す)はスタートします。

1本の木を伐採すれば4本の木を植林するというように、UPMの製品を買えば買うほど植林が促進されるという仕組みが構築されています。

木材調達と森林管理における指針

◆持続可能に管理された森林から木材を責任もってUPMの工場へ調達を行っています
◆57万 ヘクタールの自社保有林を管理し、全て森林認証を受けています
◆民間の森林所有者に持続可能な森林管理サービスを展開しています
◆最新技術を持って持続可能な森林管理を実践しています
◆年間2万本におよぶ木材の取引が民間の森林所有者と行われています
◆UPMが所有する苗床から森林は再生されています

©️UPM


伐採のスピードより、常に木々の成長が上回るというサステナブルな林業を実現。上の写真にもあるように、毎分100本の植林をすることで、「伐採する分だけ植える」にとどまらず、伐採する前よりもさらに森林が成長するよう取り組んでいるのです。これは、気候変動の問題を解決するための取り組みでもあります。
また、生物多様性を確保するために植林する苗木の種類も単一種だけではないそうです。


生物多様性や土壌、水に対するより厳しい保護基準を設定。
また、木材の梱包には木が原料となるバイオプラスチックのシートを使用。
自社工場での製材・生産には、すべて再生可能エネルギーを使用しており、原材料調達から梱包までのCO2排出量は業界最小を実現しています。
今後は運搬においても化石燃料に依存しない物流の実現を目指しており、取引先・顧客の手に渡るという最終のところまで、徹底した脱炭素化に努めています。


新しい森林産業のフロントランナーとしてバイオと森林産業を融合

上記の取り組みの他にも様々な事業を推進しており、その分野は多岐に渡ります。

パルプ・製紙、木材・合板、エネルギー、ラベル素材、印刷用紙・包装材、バイオ燃料、バイオケミカル、バイオメディカルなど
バイオと森林産業を融合した事業で、持続性のある革新的な未来を目指しています。

カーボンフットプリント カリキュレーター

UPM Timberはご紹介したように、特にサスティナビリティの観点で業界の先駆け的存在になることを目指し、いろいろな取り組みを行なっています。
その中のサービスの一環として、カーボンフットプリントの計算ツールをローンチしました。

2022年末には、サステナビリティの取り組みの透明性を高めるため、当社のウェブサイトで共同マーケティングプラットフォームを立ち上げました。このウェブサイトでは、お客様向けに多くの情報やツール、資料を提供していますが、今回は新たにカーボンフットプリント計算ツール  を追加しました。

https://www.upmtimber.com/ja/article-center/timber/2023/upm-timbers-carbon-footprint-calculator-demonstrates-the-climate-impact-of-our-timber/


カーボンフットプリントとは

カーボンフットプリント(Carbon Footprint)とは、直訳すると「炭素の足跡」という意味。
商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組みです。LCA(ライフサイクルアセスメント)手法を活用し、環境負荷を定量的に算定します。
事業者と消費者の間でCO2排出量削減行動に関する「気づき」を共有し、「見える化」された情報を用いて、事業者がサプライチェーンを構成する企業間で協力して更なるCO2排出量削減を推進すること。「見える化」された情報を用いて、消費者がより低炭素な消費生活へ自ら変革していくことを目指した取り組みの一つです。
参考:https://www.cfp-japan.jp/about/

日本の企業でもカーボンフットプリントの表示に取り組んでおり、その中には有名な企業も含まれています。
(日本ハム、コクヨ、シチズン、イオン、パナソニックなど)
カーボンフットプリントを表示することで、企業にとっては環境問題に取り組むという社会的責任の面はもちろん、カーボンプライシング(排出量に対する税金、排出権取引など)のコストカット、消費者へ「環境意識が高い企業」だと訴求出来るというメリットもあります。
また、消費者にとっては、環境負荷の少ない商品を選択することができ、自らも脱炭素の行動に取り組めるという魅力があります。

実際に計算してみよう !

UPM Timberが運営するカーボンフットプリント計算ツールは、誰でも利用でき、サイトでは木材製品による気候変動への影響を確認できます。この新しいツールでは、UPM製品のCO2排出量だけでなく、木材に蓄積された炭素量もシンプルかつ簡単に確認することができます。

院庄林業 × 林業の最先端 ヨーロッパの企業

世界的に見てもヨーロッパは林業最先端の地域。
もともと地形的にも比較的平坦で、山間部も日本のような急峻な地形は少ないこと。 気候的にも樹木の生育に有利であることなど、林業に適した「地の利」があります。
それに加え、ITやテクノロジーといった最先端の技術と高い環境意識を掛け合わせ、世界の森林産業をリードしているのです。

院庄林業では、これらヨーロッパの最先端の林業・森林産業を学ぶため、社員の研修旅行を行なっています。林業の先進国から学び、我々に出来ることからどんどん取り入れていくという精神で、新しいことにもチャレンジ。
そして、院庄林業がものづくりをする上では、仕入れ先も「地球環境を大切にする」企業を選ぶなど、サスティナブルな社会の創造に向けて積極的なアライアンスを推進しています。

津山から世界に挑む林業を旗印に、先人の知恵を借りつつも最先端の技術を学び続け、日本の林業に貢献していければと思っています。

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