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WEB MAG #10 ウクライナと日本、そして院庄林業との関係

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから2年が経ちましたが、
未だ解決の糸口は見出せないまま。多くの人が苦しみの中にあります。
その中でも前を向いて懸命に頑張るウクライナの人々。
日本や世界各国も支援をしていますが、今後どのような方法で継続した支援が出来るのか、模索は続いています。

現在は侵攻や被害状況、支援についての話題がピックアップされがちですが、そもそもウクライナと日本にはどんな関わりがあるのでしょうか。
今回は、ウクライナと日本の関係、そして院庄林業との関わりについてご紹介していきます。


実は日本がウクライナと国家として関係をスタートしたのは、1991年。ウクライナがソ連から独立を果たした後、1991年12月に日本国政府はウクライナを国家として承認し、1992年1月には両国間の外交関係が設立されました。
正式な国交関係が結ばれたのは、意外にも最近なんですね。
ウクライナが独立する前から、現在のウクライナのオデーサ市にあたる場所には日本領事館が置かれていたこと、第二次世界大戦後の1965年にオデーサ市と横浜市、1971年にはキーウ市と京都市が姉妹都市となるなど、交流はあったようです。


科学・技術、文化面における交流

現在に至るまで、産業・貿易関係だけでなく、科学技術や文化面でも交流は続いてきました。
科学・技術関係においては、2005年7月に署名された「日本国とウクライナとの間の21世紀における新たなパートナーシップに関する共同声明」において科学技術分野における二国間協力の意向が確認されています。
また、2012年からはチェルノブイリ原子力発電所事故の経験をもつウクライナとの間で、東日本大震災において発生した福島第一原子力発電所事故後の諸対応や現状と今後の方向性等について議論を行う「日ウクライナ原発事故後協力合同委員会」が開催されました。
また文化面においても、両国間で様々なイベントが催されてきました。2017年には外交関係樹立25周年を記念して、「ウクライナにおける日本年」として、ウクライナ各地で様々な日本文化行事が。日本国内では2018年、「東京におけるウクライナ・ウィーク」が開催され、伝統工芸品体験、コンサート、民芸品展示会などが行われました。


経済や産業での関わり

もともとウクライナは、「ヨーロッパの穀倉」と呼ばれるほど農業が盛んな国。
国内は縦横に大きな河川が流れ、水資源が豊富で、なおかつ栄養を含んだ肥沃な土壌があり、国土の7割以上が農地なのです。
農産物としては、小麦・大麦・トウモロコシが主要な穀物として栽培されています。

また、石炭や石油といったエネルギー資源、鉄鉱石等の鉱物資源も豊富で、鉄鋼業や重工業が発達しています。

日本とウクライナの貿易関係は、ウクライナが日本へアルミや食料品などを輸出し、日本がウクライナへ鋼管や自動車などを輸出する関係です。

◆ 日本の対ウクライナ貿易(2020年:財務省貿易統計)
 輸出 541.8億円
 輸入 568.8億円

◆主要品目(2020年:ウクライナ国家統計局)
 輸出/ 自動車、機械・装置類、光学機器、医薬品、電気電子機器
 輸入/ 鉱石、タバコ、アルミニウム、水産物、化学製品、木材加工品
 進出企業(2021年8月) 38社


ウクライナの林業と木材

日本の木材自給率は41.1%(2021年)。国内で使う木材の6割は海外から輸入されています。
2023年の日本の製材品輸入の総量は、3,433,276m3で、そのうち22.4%は、カナダから。次いでフィンランドが16.9%、スウェーデンが16.6% となっています。
ウクライナは輸入相手国として上位ではないものの、ウクライナ産の原料を使用した木材が日本には多く輸入されているようです。

ウクライナの森林率は 16.5%、ヨーロッパアカマツ(オウシュウアカマツ)を主とする豊かな森林資源を持っています。
また、ヨーロッパアカマツに加え、ナラやブナの天然林植生もヨーロッパ最大級。
ウクライナは世界的に見ても、木の輸出国として上位に挙がる国なのです。

日本で一番ウクライナの木を輸入している院庄林業

院庄林業でも、外国産の原料を輸入・使用し、多くの木材製品を作っています。


国内生産量全国2位の集成材

日本で一番、ウクライナから木を輸入している院庄林業。
院庄林業がウクライナから輸入しているのは、ヨーロッパアカマツ(オウシュウアカマツ)という樹種の木材。
その輸入した材を使用し、集成材を製造しています。
院庄林業の集成材の生産量は、国内2位。広大な自社工場で、全国最大級の生産ラインを持っています。


院庄林業が行う 独自のウクライナ支援

院庄林業では2022年から、ウクライナの木材を使って制作したスツールを販売し、その売上げの全額をウクライナ大使館に寄付するという支援活動を行なっております。

2024年2月13日時点で集まった支援額は¥348,454円。
ウクライナスツールをご購入いただいた方々に感謝するとともに、これからも支援活動に邁進していきたいと思っています。

ウクライナスツールの販売は、院庄林業が関わるイベント等で行なっています。
イベント以外でのご購入やお問い合わせについては、弊社ホームページのお問い合わせ または弊社までお電話ください。
院庄林業 代表電話番号 0868-28-2111


平和への祈りを込めた《二千羽鶴プロジェクト》

ロシアの侵攻開始から2年が経ち、日本のニュースで取り上げられることも少なくなりましたが、戦争は続いています。
そのことを忘れないために。一人ひとりが想いを馳せる。
ウクライナの平和を祈って、ヒノキの折り紙で2千羽鶴を折ろう!という企画も行いました。
院庄林業が出展するイベントや木育授業などでご参加の方々に折っていただいたり、来社したお客様にもご協力いただきました。

詳しい内容については、Youtube 院庄林業チャンネル から!


支援継続こそが未来の光となる

「喉元すぎれば熱さを忘れる」とはよく言ったものですが、ウクライナ支援についても同じ事が言えるのではないでしょうか。
ロシアによる侵攻が始まった当初は世界中が衝撃を受け、支援の輪は瞬く間に世界中に広がりました。
あれから2年。「支援疲れ」という言葉を多く聞くようになったように、残念ながら国際社会におけるウクライナへの関心は顕著に低下しており、各国が支援継続に足踏みをしているという現状があります。

日本は、大規模な対ウクライナ支援と厳しい対ロシア制裁を続けてきました。
過去2年間のウクライナ支援の総額は121億ドル(約1兆7,000億円)にのぼり、その多くは財政支援です。
武器供与を中心とするアメリカの支援とは異なりますが、国内経済や政府財政への財政支援、また人道的支援を継続しています。
2月19日には、日本とウクライナ両政府が経済復興推進会議を開催。民間主導の復興を打ち出し、両国の企業などが農業やインフラ支援を柱に56の協力文書を交わしました。支援において憲法上の制約がある日本は、「農業、製造業、IT(情報技術)産業など網羅的な経済発展を目指し、官民一体で強力に支援する」と表明。
“日本ならでは”の支援を継続していく姿勢を示しています。

政府だけでなく、自治体や様々な公共団体、NGO、企業も独自の支援活動を行なっています。
国や自治体に任せるのではなく、「私たち一人ひとりが向き合い、関心を寄せ続ける」ことが支援継続への第一歩ではないでしょうか。

院庄林業でも、「私たちにできること」を地道に考え、取り組み続けていこうと思っています。
一日でも早く世界が平和になることを祈って。