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WEB MAG #9 森林認証FSC®︎と 院庄林業の山への想い

院庄林業は、自社に伐採チーム、山の買取・調査チームをもっています。
これは「山を育て、使って、植える」という健全な森林のサイクルを促進することで環境を守り、
サスティナブルな社会づくりに貢献していきたいという想いから。
今回は、山の買取や調査、森林認証に関わる院庄林業のお仕事を通して、我が社の取り組みや
森林認証についてご紹介していきます。

日本の人口林の現状

日本の国土面積の約6〜7割は森林が占めているというデータがあるほど、日本は世界でも有数の森林大国。
そのうち、人工林は、森林面積全体の約4割です。
人工林とは、木材生産を目的として人の手で育てられた「木を収穫するための畑」のことで、戦後の木材需要の拡大に伴い、全国で急激に増大しました。
しかし今、この人工林が、所有者の高齢化や林業の担い手不足といった要因などから、間伐や伐採などの手入れがなされないまま放置されているのが問題となっています。伐採時期を過ぎた山林がそのままになっていると、森に光が入らず、草や低木が育たない。土砂崩れが起こりやすい山になる危険性もあります。
山の環境や土壌を守るためにも、伐採期(樹齢約50年)を迎えた木を切り、また植林し森を育てるというサイクルをつくることが大切です。

山の買取について

木は持続可能な資源ですが、植林しなければ次世代に資源を残すことはできません。
森林資源を次世代に残すため、伐採した土地は新たな苗木を植林し、育てるというサイクルをつくることが地球温暖化防止や持続可能な社会のためには大切になります。
院庄林業では、山の買取を行い、健全な森林サイクルの一助を担っています。

入社2年目の社員、山浦由貴さん。
彼女は現在、山の買取や森林認証に関わる仕事に従事しています。

山の買取に際しては、そこにどんな木がどのくらい生えているのか、その木の成長具合はどうなのか、など綿密な調査が必要になってきます。
調査チームは、まず、航空写真を元に現地調査を行い、山の状況を確認。敷地の境界線や面積を出すとともに、立木の混み具合や木の高さなどもあわせて調査していきます。
伐採費用や立木・材積の価格を算出し、見積もりを作成。
山主様と相談し、ご納得いただいた後に伐採をスタートする、という流れです。
伐採後は山主様に報告。また新たな森林に育てていくために植林についてもご相談しています。

院庄林業 山の買取について

森林認証FSC®️とは

森林認証制度とは、環境ラベリング制度の一つで、適正に管理された森林から産出した木材などに認証マークを付けることによって、持続可能な森林の利用と保護を図ろうとする制度のこと。
鉛筆やコピー用紙、封筒など私たちの身の回りのものでも、よく見ると、この「森林認証マーク」が付いているものがあります。

院庄林業では、サスティナブルな社会の実現に向け、この認証制度の活用をスタートしています。
様々な種類がある森林認証ですが、その中でも国際的に一番取得するのが難しいと言われているのが「FSC森林認証」。
2022年、院庄林業が管理する山林で初めて、FSC森林認証を取得しました。

FSC認証とは、持続可能な森林活用・保全を目的として誕生した、「適切な森林管理」を認証する国際的な制度です。
製品に付けられているFSC®︎マークは、森林破壊や違法伐採等の環境・社会的な問題のリスクの低い原材料が責任を持って調達され、使用されていることを意味します。

https://jp.fsc.org/jp-ja


この認証取得において、ほぼ知識ゼロのところからスタートしたにもかかわらず、
主体的に推進し実務全般を担ってきたのが山浦さん。
その仕事について、ご紹介していきます。

入社する前から「環境や自然に関わる仕事がしたい」という強い気持ちをもっていたという山浦さん。1年目は工場の管理や安全に関する業務を担っていましたが、本人の希望と能力を鑑み、この難しい挑戦の中心メンバーとして抜擢されたのです。

「取得するのも、持続していくのも難しい」というFSC森林認証。
審査基準には「10の原則と70の基準」、更にその下に約200もの細かい指標があり、この規格に沿って審査を受けなければなりません。

FSCの理念である「環境保全の点から見ても適切で、社会的な利益にかない、経済的にも継続可能な森林管理」を具体化したのがFM認証の規格です。

FM(森林管理認証)10の原則

FSCの理念である「環境保全の点から見ても適切で、社会的な利益にかない、経済的にも継続可能な森林管理」を具体化したのがFM認証の規格です。

◆1. 法律の順守: 森林管理や取引に関する国内法や国際条約が守られているか?
◆2. 労働者の権利と労働環境:労働者の権利や安全は守られているか?
◆3. 先住民の権利:先住民の権利は侵害されていないか?
◆4. 地域社会との関係:地域社会と連携し、よい関係を築いているか?
◆5. 森林のもたらす便益:森林の多面的な機能が考慮されているか?
◆6.環境価値と環境への影響:環境への影響は評価され、環境が守られているか?
◆7. 管理計画:きちんとしたデータや情報に基づく計画がされているか?
◆8. モニタリングと評価:環境や社会への影響がモニタリングされ、負の影響が抑えられているか?
◆9. 高い保護価値:森林の生態的、社会的に高い保護価値は守られているか?
◆10. 管理活動の実施:管理活動は計画通りに行われているか?

山浦さんが持っている書類の一部。各ページには、たくさんの書き込みと付箋があり、
入念に勉強した様が伝わってくる。


基準や指標の多さからも分かるように、ただ単に「管理されている」だけで良いというわけではありません。
生物多様性や希少種・絶滅危惧種への配慮も必要になってきます。山浦さんは、「希少種については、地域の専門家に意見を仰ぎ、勉強しました。さらに、その記録書の作成も必要だったので、膨大な資料やデータとの戦いでもありましたね。」と言います。

これを日本で取る企業、団体は非常に少なく、国内でみてもFM認証を受けた森林が本当に少ないとされています。

院庄林業では、現在2ヶ所の自社所有林でこの認証を受けています。
2022年に認証を受けた山林の面積は17.52ha。
2023年は140haの山林が新たに認証を受けました。

FSC®-C180676


院庄林業が目指す未来

今後、この持続可能な森林の面積をどんどん広げていこう!という目標を打ち出している院庄林業。

現在行っている活動の一つに、「匠 乾太郎 植林基金」という活動があります。
これは、植林基金にご協賛いただいている企業の皆様から、院庄林業が手掛ける国産ヒノキの天然無垢材ブランド「匠乾太郎(たくみ かんたろう)」をご購入頂いた時に、未来の森づくりのための植林費用を別途頂き、その資金をもとに院庄林業が植林を行うものです。


この基金によって植林する規模を今後どのくらい増大させていくか、ということについては以下に目標を置いています。

現在、院庄林業の製品になる木材の多くは輸入木材が占めています。
しかし近い将来、これを、自社で伐採した木材で全てまかなう、という最終目標を掲げる院庄林業。

海外の取り組みなどを参考にしながら、技術開発を推進し、実現に向けて
ますます頑張ってまいります!